こんにちは。好きなことでゆるく働き、都心ミニマルライフを楽しむもふもふです。
32分というショートフィルムにもかかわらず、鮮やかに心に残る映画を観てしまいました。
「隔たる世界の2人」という映画です。(2021年制作)
今回は、「私が【隔たる世界の2人】から学んだ、人の痛みを想像すること。」についてお伝えします。
「隔たる世界の2人」のあらすじ
※ネタバレを含みます。
Netflixで配信されていて、おすすめに上がってきたので軽い気持ちで観ました。
あらすじはこちら。
タイムループに閉じ込められた男が、愛犬が待つ自宅に戻る途中で、警官ともめて殺される恐怖を何度も繰り返す。アカデミー賞最優秀短編実写映画賞受賞作品。
Netflix「隔たる世界の2人」より
私は自分でもよくわかりませんが、タイムループものが好みで、かつこの映画には犬が登場します。
そのため、自分の好みの映画かな?と思ったんですね。(ということは、サジェスト機能がすごいな。)
ただ、アカデミー賞受賞とあるので、何か深めのメッセージがあるのかなとは思いましたが…。
深めのメッセージ、ありまくり
白人の警官という時点で、ああこれは…と思ったのですが、音楽とかスタイリッシュだったので軽く観れましたよ。
観てみると、前半のシーンで実話を象徴する人種差別場面がありました。
なんとなく予想がついていたとしても、白人警官に対する黒人差別のリアリティが胸に突き刺さります。
黄色人種だけど、黒人になった錯覚
私は島国の黄色人種で、肌の色に対する差別を根本から理解する機会がないまま育ちました。
私自身は、国内はもちろん、ふらふら暮らしていたロンドンでも、運良く差別を受けた経験がないんですね。(他の子はけっこうある、と言っていた。)
そして、コロナ以降に、欧米でアジア人が差別される(というか暴力を受ける)悲しい場面を、ニュースなどで知りました。
その結果、人種差別の存在を頭では理解できるけど、我がごと感としては想像が追いつかないという感覚だったのです。
でも、このたった32分のショートフィルムが、その感覚を思いきり塗り替えました。
私には、キング牧師よりも影響があったよ。
絶望と未来へのパワーへのせめぎ合いが、リアルすぎた
私は黒人である主人公の気持ちを、初めて自分のことのように理解しました。
黒人の主人公は、どんなループを辿っても白人の警察官に殺されてしまいます。
最終的には、新しい1日が始まる場面で、主人公が達観したように、
何度でも繰り返して、絶対に、愛犬が待っている家に帰るんだ
と決意するところで、物語は終わります。
その毎日がどういうことかというと、
- 「黒人であるだけで何をしても無駄なのだ」という絶望
- 「どんなに歴史が繰り返されても、対話を諦めない」というパワー
という、心のせめぎ合いなのです。
こういった毎日があることを、
人種差別を受けたのことのない私が、我がこと感を持って想像できた
という点が、すばらしい作品だと思いました。
人の痛みに関心がある人間でいたい
この作品を観て、やっぱり私はまだまだ知らないことが多いなと思いました。
たとえば、2020年にジョージ・フロイドという黒人男性が白人警察官に殺されてしまった事件。
黒人の方達の暴動に発展したこともニュースで見て知っていましたが、その切実かつ切迫した感覚までは、そこまでよくわかっていませんでした。
この作品がアカデミー賞を受賞した際のスピーチで、本作品の監督がこう言っていたそうです。
人間における最も卑劣なことは、人の痛みに関心がないこと
たった32分の作品で、白人でも黒人でもない私にこのメッセージをするっとインストールしたというのは、もう感服の一言。
アカデミー賞を獲るわけだ。
エンターテインメントとしてもとても観やすい作品(ここ重要!)なので、ぜひ多くの方に観てもらいたいなと思いました。
まとめ
以上、「私が【隔たる世界の2人】から学んだ、人の痛みを想像すること。」についてお伝えしました。
肌の色は、白黒黄だけじゃなく、赤青緑もあったら差別は生まれないのかな?
それともただ、別のカーストが生まれるだけなのかな?
これまでの歴史も深く関係しているのかな?
と、作品を観たあとも、人の差別意識の根源について、色々と考えさせられました。
今回は、白人警察官側の思いを深掘りすることはありませんでしたが、私は良い悪いは別にして
肌の色などでフィルターをかける側
の思考の根底も知りたいな、と思います。
【関連】私が人の痛みを想像する側でいたい、と思ったエピソードです。