問題犬が心を開くまで。凶暴な保護犬の里親になるまでの1年半を記録。

保護犬と暮らす

我が家には、野犬気質で気難しい元保護犬がいます。(通称:もふもふさん)

もふもふさんは、いわゆる問題犬でした。かみつきやパニックがひどく、長い間ほかの保護犬さんが卒業していくのを見送るばかりでした。

もし保護犬の里親を検討されている方や、問題を抱えた動物と暮らす方がいたら、何らかの参考になるかもしれません。

もふもふ犬を迎えるまで

あくまでも我が家の場合ですが、ひとつの事例として紹介したいと思います。

1日目:多頭飼育崩壊で保護

70頭以上の多頭飼育崩壊が起こったと保護団体の方から連絡が入り、預かりボランティアとして対応した子がもふもふさんでした。

預かりボランティアとは、新しい家族が見つかる間のお世話をすることだよ。

最初に見たもふもふさんは、極度に人間に怯え、背中を丸くしてブルブル震えていました。

もともとの長毛は糞尿でガチガチに固まっていたらしく丸刈りとなっていて、劣悪な環境で育ったことはすぐにわかりました。

保護時のもふもふさん。

1ヶ月目:人間が怖すぎてガブガブ犬に

幸いにも先住犬がいたので、もふもふさんも先輩犬に対して少しずつ心を開いたようでした。

ただ、人間は近づくだけでウウウ!!となる始末。

特に男性への攻撃性が強く、夫に対しては背後を狙って噛みつき、度々流血させていました。

私も一度不注意でがっつり顔を噛まれてしまい、顔から血を流しながら緊急病院に駆け込みました。(いまだに鼻には牙の跡がうっすら残っています。)

この攻撃性をどうしたものかと、この頃が一番悩みました。

即効性ある解決策がなかったので、彼女が安心できる距離を保って過ごしていました。

4ヶ月目:初めて外の世界へ

適度な距離感を守るうちに、私のことは自分には危害をくわえないニンゲンとして認識したようでした。

ここで初めて、リードをつけてお散歩に連れ出すことができました。

アスファルトの歩き方がわからず、初日は数歩でうずくまりましたが、先輩犬の嬉しそうな様子を見て少しずつ変化が出てきました。

初めてのお散歩。脱走防止のためダブルリードです。

10ヶ月目:突然、人に甘えるように

日々ガウガウだったもふもふさんでしたが、ここにきて突然夫にデレデレになりました。

特にきっかけもなく、いまだに何が起こったのか私たちにもわかりません。

なんとなくの想像ですが、人に触れられたことのない彼女に蓄積された「甘えたい」という欲求が、コップにたまった水のように溢れだしたのかもしれません。

とにかくこの日から噛みつくことはなくなり、撫でてほしそうに夫をストーキングするようになりました。

甘える目をするようになった!

12ヶ月目:トリミングトレーニング開始

私たち夫婦のことは受け入れたものの、まだ他人にはガウガウのもふもふさん。

あたりまえですが、そんな凶暴犬に里親さんはなかなか現れませんでした。

さらに大きな問題が、トリミング

長毛犬のもふもふさんは、ハサミを見ては噛みつくのでトリミングサロンからお断りされてしまいました(危険なので当然です)。

でもこのままでは、毎回全身麻酔でガチガチになった毛玉を除去する一生となってしまいます。

出張トレーナー・トリマーさんに協力いただく

ここから長期戦を覚悟し、少しでも家庭犬に近づけるようプロの方々の協力を借りることにしました。

幸運にも素晴らしい出張トリマーさんやトレーナーさんに出会え、「ハサミを見せる」ことから少しずつ練習することに。

彼らのおかげで、もふもふさんは人を信じること、人の期待にこたえる喜びを学びました。

そして信じられないことに2年後、もふもふさんはトリミング大好き犬になりました。

最初は「ハサミを見たらおやつがもらえる」のみを繰り返す。

1年6ヶ月目:先住犬の旅立ち

もふもふさんが先輩と慕っていた先住犬が、老衰で天国へ旅立ちました。

私たち夫婦はこの子を溺愛していたので、この時の記憶があまりありません。

ただひとつ覚えていることは、ほかの誰よりも一緒にもふもふさんが彼女の死を悲しんでくれたことです。

棺から離れず、夜になると細く遠吠えをしました。(動物番組で観た、仲間を悼んだ狼の声と同じでした。)

棺がなくなると、玄関や洗面室などを覗いては必死に先輩犬を探していました。

もふもふさんはとても気難しいけれど、こんなにも他の子に寄り添う優しい子なのだとわかる出来事でした。

そんなもふもふさんと、この先も一緒にいたいと強く思いました。

棺をのぞきこむ、もふもふさん。全身が悲しんでいます。

1年7ヶ月目:里親になる覚悟

夫婦で何度も話し合いました。

私の人生で最も迷ったことだと思います。

その時のもふもふさんは、まだまだ他人に危害を加える可能性が高い犬でした。

もふもふさんのことは愛しくても、抱っこすらできない状態なのに、その先のあらゆる問題に責任を持てるのか?と悩みました。

その時の温かい心意気だけでは先々その子を不幸にする可能性があることを、たくさんの保護犬を通じて知っていたからです。

最終的に里親になる覚悟ができたのは、トリマーさん、トレーナーさん、かかりつけの獣医さんが、彼女の性質を理解し真摯にサポートくださる方々だったことが大きいです。

ひとりで抱え込むリスクを極限まで減らすことができました。

困ったときにプロの手を借りられる環境を整えて、ようやく覚悟できたんだね。

現在のもふもふさん

いわゆる家庭犬と比べて、もふもふさんはまだいろんなことができません。

夫婦ふたりが揃っていないと外に出られないし、抱っこしようとすると恐怖で噛みます。

でも、もふもふさんを迎えて後悔したことは一度もありません

人間をみる目つきが少しずつ警戒から喜びに変化していき、絆が強くなる日々が私たちには宝物です。

まとめ

このお話は、あくまで我が家の場合です。

もふもふさんはたまたま問題を抱える子でしたが、保護犬には人が大好きな子も、すぐに馴れる子もたくさんいます。

里親になってわかったことは、彼らに心動かされる、素晴らしい瞬間がたくさんあるということ。

動物を迎える際は、ぜひ保護犬を選択肢に入れてみてほしいです。

そしてもし問題犬で悩みを抱えている方がいたら、ひとりで抱えるのではなく、ましてや手放すのではなく、どうかプロの手に頼る選択肢を持ってください。

もちろんお金はかかりますが、それが動物を飼う人の責任なのだと思います。

全ての人と動物が幸せに暮らせますように。

現在のもふもふさん。
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