東京都心、駅前でチョコを売っていた女の子の話。

ミニマルライフ

こんにちは。好きなことでゆるく働き、都心ミニマルライフを楽しむもふもふです。

先日、円安についての記事を書きました。

私が日本から持ってきた日本円が英国ですごい勢いで減っていった、という恐怖エピソードを綴った話でした。

それと同じことが、少し前にこの日本でも起きていました。

コロナ禍の際に、私が出会った、

異国で手持ちのお金を使い果たし、帰国もできない女の子

のお話をします。

最初にお伝えすると、この話に結論はありません。

ただ、この出来事を知ってもらえたらと思います。

小さな駅に立っていたチョコレート売りの女の子

夕方に、仕事で外苑前駅に立ち寄った時のこと。

10代後半のアジア系外国人の女の子が、駅の入口付近に紙袋を手に下げて立っていました。

そして、片言の日本語で、小さく「買ってください」と呟いていました。

身なりは、白シャツにデニムという、都心でよく見かける外国人留学生といった感じでした。

外苑前駅とは

東京メトロ・外苑前駅というのは、渋谷や新宿などとは違い、少々お堅めのオフィス街にある比較的小さな駅です。

平日に寄附を募ったり、募金活動をする人を見ることはないし、ましてや女の子1人ということに少し違和感を感じました。

当然ながら、誰もその子には見向きもしません。

身なりからしてホームレスにも見えないし、何かの寄付を募っているのかな?と思い近づいてみると、彼女は手のひらサイズのカードをそっと差し出しました。

そこには外国人が書いたであろう日本語で、こう書かれてありました。

カードに書かれていたこと

コロナで仕事がなくなり、帰国もできず明日のごはんが食べられません。いくらでもいいので、チョコを買ってくれませんか。

紙袋には、大袋に入っていたであろう安価なチョコを2個ずつ小分けにされ、丁寧にラッピングし直されたものが入っていました。

小学生女子がバレンタインで、クラス全員に義理チョコを配る時のような、あの感じです。

たぶん彼女自身で包んだのだと思われますが、一つ一つ律儀にリボンが巻かれていました。

私は1000円でそのチョコを買い、「がんばってね」と言って去りました。

彼女はうつむきながら、何度も小さく「ありがとう、ありがとう」と言っていました。

その子は何者だったのか

その子のその時の様子が気になって、仕事の帰りにもう一度駅に寄ってみましたが、もう姿はありませんでした。

彼女が何者なのか、カードに書いてあったことが本当なのか、今ではもう知ることはできません。

もしかしたら、そうやって日銭を稼ぐと割がいい、と活動していた可能性もあります。

でも、あのチョコレートの律儀な包み方や、普通の学生のような身なり、そして彼女の切実な表情を見る限り、私には「今まで普通に暮らしていた女の子が本当に困っている」ように思えました。

もし騙されたならそれでいい。でもそうでなかったら。

少なくとも今夜はご飯を食べられるはず。

もっと渡せばよかったな、あの子どうしてるかな。

と、ぼんやり考えながら帰宅しました。

都心にいる外国人労働者について

その後、私のお客様である方々から、外国人労働者の実情をちらほら聞くようになりました。

ニュースなどでは飲食店の廃業などは取り上げられましたが、日本にいる外国人労働者については報道がなかった印象です。

しかし、お客様からは実際に「コロナでずっと家にいるため、お手伝いさんに来てもらう理由がなくなった」とのことで、外国人ハウスキーパーさんがどんどん解雇されているという話をよく聞きました。

実は都心にはフィリピンなどから出稼ぎに来た、アジア系外国人ハウスキーパーさんが数多くいらっしゃいます。

私はペットシッターという職業柄、朝の富裕層街では彼らが出勤する波に混ざってお客様宅へ向かいます。

その波の中を一緒に歩いていたからか、彼らには勝手に親密さを感じていました。

彼らの多くが、このコロナで失職しているという話を聞いてやっと腑に落ちました。

彼女の職業はわかりませんが、きっと何かしらそのような、

コロナの影響を受けた外国人労働者(もしくは留学生)

のひとりだったのだと思います。

私の感じたこと

私は普段、募金や寄附を熱心にするタイプではありません。

でも、その時はなぜかはわかりませんが、瞬時に「この子は昔の私だ」と思いました。

私もロンドンにいた時に、もし仕事が見つからず日本円が尽きてしまったらと恐怖した時のことを思い返すと、彼女の不安な気持ちが痛いほどわかります。

しかも私と違って彼女の場合は、コロナで帰国する選択肢がない状態です。

当時は、何ヶ月帰国できないのか、もしかしたら数年先なのか、誰にもわからない状態でした。

円を稼ぐことさえできれば生きていけますが、その方法がない状態で帰国もできない。

最終的に明日食べるお金すらなくなってしまったけれど、普通の女の子が物乞いなんてしたこともない。

そういう葛藤があって、もしかしたら「チョコレートを売る」という方法にしたのかもしれません。

もし自分だったらと思うと、とても心細い状態だなと思いました。

まとめ

都心にはこういった、ニュースにならないマイノリティな労働者がたくさん存在します。

自分に何ができるのか、あの時どうしたらよかったのか、自分が彼女だったらどうするのが最善か、ただの偽善心なのか、などこの出来事でいろいろ考えてみました。

私が最も怖いのは、私の想像力がなくなり、彼らの存在が視界に入らなくなってしまうことです。

結局、人は自分の想像できる範囲のことでしか動けません。

私はその範囲を狭めずに、自分が何かできることはないかを考え続けたいと思っています。

結論がなくて申し訳ないのですが、自分が見たこと・知ったことを残しておきました。

あの子が元気にしていることを祈っています。

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